佐伯美香のメディア掲載事例

●私の子育て 全日私幼連「PTAしんぶん」 第570号 平成21年9月20日  

我慢することの大切さをわが子に教えていきたい

佐伯美香子ぼんのうな父親の頑張り!

一人息子の健太は小学二年生。生まれた時からすごく活発な子で、今も毎日元気いっぱいに動き回っています。

息子は幼稚園に二年保育で通いましたが、その頃の私はビーチバレーの選手としてバリバリの現役でしたから、北京オリンピック出場を目指して国内外の大会を転戦中だったんです。合宿や遠征が続くと、長い時には二カ月、三カ月と家をあけることもあり、息子と園生活を共にする時間をなかなか作り出せない状況だったんです。

でも、そんな留守がちの母親の代役を、子ぼんのうな主人がしっかり務めてくれました。主人は園の行事があるたびに会社を休んで出席したり、週二回あるお弁当持参の日には、給食に振り替えることもできたのに朝早く起きてお弁当を作ってくれたり、母親が留守でも息子が園生活でさみしい思いをしないよう頑張ってくれたんです。

私が帰ると赤ちゃん返り

とはいえ実際には、息子にずいぶんつらい思いをさせてしまったようです。私が留守の間、息子は子どもなりに我慢して父親の言うことをしっかり聞いていられるのに、私が帰ってきたとたん、まるで赤ちゃん返りをしたみたいに甘えだすんです。私は私で久しぶりに息子と会えたうれしさから、そんな甘えを受け入れてしまったんです。

幼稚園での息子の生活態度も、私が帰っている時は、いつもと全く違ってしまうと先生からお聞きしました。息子の甘えは普段のさみしさの裏返し。そう思うと、どんなに息子が甘えても叱る気にはなれませんでした。

その反面、長期間息子と離れていたから気づいたこともありました。たとえば入園当初は自分の意志を言葉で伝えられなくて、時々、噛みついたり、たたいたりしていた息子だったのに、私が帰るたびに何かができたり、話せたりするようになっていたこと。毎日一緒にいると見過ごしてしまうようなわが子の成長ステップを、私は会うたびに発見できたんです。

わが子の力を伸ばしてくれた幼稚園の先生方に感謝!

いくら競技生活が多忙だからといっても、園の行事に全く出られなかったわけではありません。秋に行われるおゆうぎ会にはたまたま二年続けて出席できたんですが、年長の時の舞台を見て感じたのは、たった一年でこんなにちゃんと歌や劇ができるようになるんだという驚きでした。ここまでわが子の力を伸ばしてくれた先生方の努力に、私はただ感謝するばかりでした。

北京オリンピックに出場が決まったのは息子が卒園したあとのことでした。それなのに幼稚園の先生方は、私を応援するために特別なアルバムを作ってくださったんです。思い出がいっぱい詰まったそのアルバムは、私にとって何よりの励ましになりました。

残念ながら私たちのペアは北京で入賞することができませんでした。私はそこで競技生活に区切りをつけ、今は主にビーチバレーの普及や指導の仕事をしています。家にいることが多くなり、やっと息子と向き合う生活ができるようになったんです。

スポーツを通して思いやりの心を

主人はもともと息子に接してきたので、宿題をやらなかったりすると大きな声で叱ります。でも叱れば言うことを聞くかというと、必ずしもそうではないんですね。かといって親が何かを言わないと子どもはやっぱりやるべきことをやらないんです。

厳しく叱るだけでもだめだし、子どもの自発的な行動を待ってもなかなか結果が伴わない。わが子にどのように接していけばいいのか、私は今さらながら子育てのむずかしさを痛感しています。

今振り返れば私は、息子をかわいがりたい思いが先に立ち、泣けば許してもらえるとか、ねだれば買ってもらえるといった安易な気持ちをわが子に植えつけてしまったのかもしれません。これからは我慢すべき時・事を教え、できたことを誉める、メリハリのある態度で接していきたいと思っています。

息子は小学二年生にしては体が大きく、とても活発な子です。まだスポーツは始めていませんが、本人はサッカーに興味を持ち始めています。私は自分が経験してきたように息子にもスポーツを通して体を鍛えると同時に、フェアプレイの精神や、相手を思いやる気持ちを学んでいってほしいと願っています。

発行者 : 財団法人 全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

編集・制作 : (財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構調査広報委員会/ベストライフ

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